キヤノンとエプソン、インクジェットプリンターで激突 社員は将来を不安視 | Bizトピックス | キャリコネ
【企業徹底研究】vol.80 【更新日:2012.03.15】
国内インクジェットプリンター市場でキヤノンとセイコーエプソンの2強対決が激化している。
インクジェットプリンターは印刷技術の向上が一巡。品質では差が付きにくくなっている。今後は、スマートフォン(スマホ、高機能携帯電話)などやネットと連携した魅力的な商品を打ち出していけるのかがポイントになっている。
調査会社のBCNの販売台数シェア調査によると、2011月第1週に43・4%だったキヤノンは同11月の第2週には27・4%まで落ち込んだ。代わりにシェアを伸ばしたのがエプソン。同10月第1週の段階では39・7%と3・7ポイントの差で2位だったが、その翌週に首位を獲得。同12月第3週には57・3%にまで拡大した。
障害の調査2005食
エプソンは、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad」、米グーグルのOS「アンドロイド」の端末向けの専用アプリを配布。インクジェットプリンター「カラリオ」と各端末を無線LANで結ぶことで、文書や画像がどこからでも無線で手軽にプリントできるようにした。
一方、キヤノンも反攻に転じ始めている。タイ工場は昨年12月末に操業を再開。エプソン同様、スマホとの連携で高機能化を図り、商品力の向上にも乗り出している。市場で激しい戦いを続ける両社は、どんな会社なのだろうか。
優良企業のイメージにそぐわない福利厚生の悪さ
キヤノンは御手洗冨士夫会長兼最高経営責任者(CEO)が経団連会長を務めるなど、優良企業のイメージが強い。しかし、キャリコネに寄せられた社員の口コミを見ると、福利厚生の悪さを口にする書き込みが意外に目立つ。例えば、20代前半の男性社員は次のように話している。
「2003年以前入社の社員には社宅制度があり、福利厚生は比較的充実していたが、2004年より社宅制度が廃止され、それ以降に入社した新入社員は苦労している.社宅制度を廃止したからと言って、給料が上がったわけでもない.福利厚生に今後も期待はできない」
また、給与についても、社員は決して満足しているわけではないようだ。
「基本給自体が他社、他業種に比べて低いと感じる」
十代のうつ病のアンケート
と言うのは、20代後半の男性社員だ。この男性社員の話が続く。
「昇格試験に合格すれば一気に給料がジャンプアップするが、それで並のメーカーと同じくらいという印象がある」
キヤノンはインクジェットプリンタだけでなく、一眼レフをはじめとするデジタルカメラでも高いシェアを誇る。社員はそうした製品シェアに見合っただけの給与体系を望んでいるようだ。
ワンマン体制に戻り、将来性には疑問符
キヤノンと言えば、2月30日に御手洗冨士夫会長兼CEO(76)が約5年ぶりに社長に復帰する人事を発表した。会長職とCEO職を兼務する。内田恒二社長(70)から辞任の申し出があり受理したという。この社長交代劇については首を傾げる向きも多い。
田中稔三副社長は「新しい人に託すのではなく、ベテランに任せて難局を乗り切る」「人材育成が追いついていない」などと強調したが、76歳の御手洗氏を再び担ぎ出さなければならないほど社内は大変なのだろうか?
「御手洗氏と退任する内田恒二社長の間で何らかの路線対立があったのでないか」といった臆測もあり、ワンマン体制に戻ることを心配する声もある。
実際、社員はこうした経営体制に不安を感じているようだ。20代後半の男性社員が次のように告白している。
「現状の業績は申し分ないが、将来性はかなり不透明」
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その理由として、この男性社員はトップダウンの弊害をあげている。
「完全なるトップダウン型なので若手の情熱が経営に影響を及ぼすことは無い。一方、上の世代は保守的で革新的なことをする人がおらずモチベーションも低い。よって新規事業も生まれない」
エプソンは「長野のエリート」で「緊張感に乏しい」
一方、キヤノンとシェア争いを繰り広げるセイコーエプソン。こちらはキヤノンとは異なり、福利厚生が充実しているようだ。派遣社員で働く20代の女性が話している。
「とてもきれいな保養所があり(略)ホテルと契約があったりと本当に充実していました。社内環境はとても良いです」
エプソンの本社は長野県にある。地元では大手企業のため、独特の社風が形作られていると、30代後半の男性社員は言う。
「会社内で閉じているし、県内では大企業なので、他の会社に対して差別的な感情を抱いている」
将来性はどうだろうか。「プリンター事業以外の種が育っていないのが大きな問題」とマーケティング担当で働く男性社員(30)は指摘する。
さらに、前出のような社風の影響からか、社員の「緊張感の乏しさ」に対して警鐘を鳴らしている。
「社内での危機感のレベルが低すぎます。グローバル企業へ成長したにもかかわらず、多くの社員のマインドセットが『長野のエリート』。これでは競合を打ち負かせていけるのか、大いに疑問です」
かつて高性能事務機器であるインクジェットプリンターでコモディティー化するほどの技術力を持つキヤノンとエプソン。熾烈なシェア争いの行方だけではなく、社員の士気を高め、次の成長事業をどう育ててくのかにも目を向ける必要があるだろう。
*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年2月末現在、45万社、16万6000件の口コミが登録されています。
(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中)
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